<ほけんリーグブログ>傷病手当金は本当に年収の2/3受け取れるのか?!(勘違いしやすい落とし穴)

2021年05月11日BLOG

こんにちは!

今回のタイトルは、

「傷病手当金は本当に年収の2/3受け取れるのか?!(勘違いしやすい落とし穴)」

です!

結論から言うと、ほとんどの方が傷病手当金を年収の2/3も受け取る事はできません。

よくSNSやYouTubeなどで社会保障の解説をする際に傷病手当金の説明は「ざっくり年収の2/3」と説明されています。

(私もざっくりと制度を知ってほしい場合はそのように説明します。)

ですが、「傷病手当金があるから生命保険や医療保険は不要」という行き過ぎた意見も見られるようになり、さすがにそれは言い過ぎだと感じ注意喚起の意味でも記事にしてみようと思いました。

さて、この傷病手当金は療養のため仕事を休む場合、連続した3日間の待機期間を経て4日以降から給付金を受け取る事ができる健康保険制度にある仕組みです。

(残念ながら、一部の国保組合等を除いて国民健康保険の被保険者の方は傷病手当金の対象外です。)

給付金の金額は、

「直近12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3 × 対象日数」

で求めることができます。

おそらくこの直近12ヶ月の標準報酬月額を直近12ヶ月の収入(年収)と読み替えられ、年収の2/3と説明されているのでしょう。

例えば、直近12ヶ月間の年収が600万円(うち賞与150万円)の人なら傷病手当金を年間400万円受け取ることができる、といった具合です。

ですが、この計算は誤りです。

実は賞与(年4回以上支給されるもの以外)は標準報酬月額に含まれません。

そのため上記の方の場合には、直近12ヶ月の標準報酬月額の平均は450万円÷12で求められ37.5万円となります。

さらに給付日額を求める場合、÷30をし、×2/3をするため、日額は8,333円(1未満の位は四捨五入)となります。

そのため、上記の年収600万円の方が仮に1年間(365日)仕事を休むことになった場合には、総額3,041,545円を傷病手当金として受け取ることができます。

これって年収の2/3ではなくて1/2ですよね?

年間100万円の差は大きいと思いますが、大丈夫そうですか?

また、当然療養のため仕事を休んでいるわけですから医療費もかかります。

仮にこの方の場合は高額療養費(多数該当)の限度額に12ヶ月該当した場合で年間約70万円かかり、

さらに傷病手当金は非課税ですが、社会保険料はかかりますので、こちらも年間約40万円はかかるとした場合、

傷病手当金から医療費、社会保険料が引かれると年間200万円弱で生活を営まなくては行けなくなります。

これだと生活が一変しませんか?

ご家族の生活は安心ですか?

毎月続けている投資や貯金は続けられそうですか?

どんな病気や怪我になって会社を休んでも「年収の2/3もらえる」って話から完全に様子が変わってきましたよね。

特に年収の高い方ほど、この減収による影響は大きくなるかと思われます。また、その度合いは年収のうち賞与が占める割合でも変わってきます。

例えば、このような際に使途も決まっておらず最悪無くても一切困らない捨ててしまってもいいようなお金が数百万円以上、常時確保できているのだとしたら、このリスクに対して保険は不要かもしれません。

しかし、多くの若い方は資産形成の途上でまだそこまでの余裕がない方が多数だと思います。

ちなみに日本人の二人以上世帯の金融資産保有額の平均と中央値は以下の通りです。

金融広報中央委員会
「家計の金融行動に関する世帯調査[二人以上世帯調査](令和元年)」より

そのため「傷病手当金が年収の2/3もあるから保険は不要」という無責任な発言を安易に鵜呑みにして、自身のリスクと向き合えないのはそれこそリスクだなと思ってしまいます。

あと、基本的に我々のような保険や金融商品のプロは安易にYouTubeやSNS等で商品説明やその要否についてなど断定的な発信は法令遵守(コンプライアンス)等の観点からできません。

(みなさんのお仕事にも守るべき一線は必ず存在しているかと思います。)

では、なぜ僕たちにできないことを彼、彼女らはできているのか…

皆までは言いませんが賢明なみなさんのお察しの通りです。

話が脱線しましたが、今回お伝えしたかったのは、

・傷病手当金が年収の2/3受け取れるというのはほとんどないこと

・実際に受け取れる金額やリスクを評価することが大切だということ

この2点です。

この記事をお読みいただいた方にはこれらを含め賢明なご判断をいただけたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!